組織全体の意識醸成と、AI時代を見据えたデータ・ナレッジ活用の本格化に向けた指針が完成

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 経営企画部情報統括課DX推進室


・「NITE長期ビジョン2030」の実現に向け、全組織共通のAI時代を見据えたデータマネジメントガイドライン案を整備
・全役職員を巻き込んだ意識醸成と、現場との対話を重視した実態と課題の把握
・ルール作成だけで終わらない「人と組織に伴走する」アプローチで、実行と定着化までを支援

経営企画部情報統括課DX推進室長 大内 静香 様

nite様事例

独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下、NITE)様は、製品安全、化学物質管理、バイオテクノロジー、適合性評価推進、電気安全評価の5分野を柱に、蓄積されたデータと高度な専門的知見を活用して、企業の信頼性向上や消費者の安全な暮らしを支える経済産業省所管の行政執行法人です。グローバルに通用する科学的根拠に基づく評価技術と連携を通じて、安全で持続可能な社会の実現に貢献しています。

データ・ナレッジの活用による社会全体の課題解決や産業競争力の強化への貢献に向けて、全組織共通の「データマネジメントの仕組み」を整備したい

NITE様では、多岐にわたる事業分野において、膨大なデータと専門的知見(ナレッジ)を蓄積しています。これらの資産を組織内で有効活用するだけでなく、対外連携や新たな価値創出を通じて社会全体の課題解決や産業競争力の強化に貢献することを目指しています。

これらを実現するためには、部門ごとに異なる業務特性やデータ管理手法を考慮したうえで、実運用に耐える現実的な「データマネジメントの仕組み」が必要でした。

そして喫緊の課題は、「機構全体の実態(課題や制約事項)を正確に把握し、目指すべき姿の共通認識を定義すること」と、「経営層から現場の担当者に至るまで、組織全体の『データに対する意識醸成』を進めること」の2点でした。

パートナー選びでの重要な要件は、専門知見・経験と「人と組織に伴走する」アプローチ

共通データマネジメントガイドライン案策定にあたり、データマネジメントの高度な専門知見と行政機関等へのコンサルティング経験を持ち、且つ、単なるルールの作成で終わらせないために、現状調査からルール定義、組織全体の意識醸成の実行と定着化まで「人と組織に伴走する支援」ができるパートナーが必要でした。

NITE様とD.Forceの取り組み

「意識醸成」から「共通データマネジメントガイドライン案策定」までについて、NITE様がD.Forceとともに取り組んだ活動や施策の一部を紹介します。

1)全職員参加型のデータマネジメント講演会

組織全体の意識醸成の第一歩として、経営層・管理職層をはじめとする全役職員を対象にデータマネジメント講演会を実施しました。

D.Forceのトップコンサルタントが登壇し、データマネジメントの基礎概念に加え、データ活用の成功・失敗事例や組織設計のポイント等をテーマに解説。NITE様が目指す社会貢献の実現にデータマネジメントがどう寄与するのか、組織全体でビジョンを共有する機会となりました。

講演会実施後のアンケートでは、職員のデータ活用意向度を測定し、組織内の変革に対する温度感や潜在的な課題を定量的に把握することができました。

2)現場の実態を解き明かす「仮説構築」と「段階的ヒアリング」

またNITE様はD.Forceとともに、マネジメント部門、および、5つの事業部門に対して計20回のヒアリングを実施しました。

まずは各部門の代表者への聞き取りを行い、それらを元に仮説を構築。そして、それらの仮説に基づいた調査票を用いて実務担当者から事前情報を聴取した上で、深掘りヒアリングを行う段階的なアプローチで進めました。

現場との対話を重視するこのアプローチにより、担当者の負担を抑えながらも、業務システム化の進展度合いやナレッジ管理の実態、暗黙知の継承課題といった真のペインポイントを浮き彫りにすることができました。ヒアリングの過程では、D.Forceから具体的なデータ活用に関する提案を行いました。

3)AI時代を見据えた「共通データマネジメントガイドライン案」の策定

段階的ヒアリングから得られた「実態」と、「目指すべき姿」とのギャップ分析を行い、段階的な成熟度目標(ロードマップ)を策定しました。

さらに、データ・ナレッジの活用による社会全体の課題解決や産業競争力の強化へ貢献するための「共通データマネジメントガイドライン案策定」について、D.Forceが支援しました。

具体的には、データカタログによるメタデータ管理の標準化、体制構築(データオーナー、データスチュワードの役割定義)に加え、公共機関に求められるガバナンス要件を満たし、且つ、今後のAI活用を見据えた「AIデータ倫理(プライバシー、バイアス対策、説明責任等)」のルールを盛り込みました。

また、NITE様では部門ごとに業務が大きく異なるため、データマネジメントやガバナンスのあるべき内容も部門によって異なることが想定されます。

通常業務に集中する各部門では、データマネジメントに取り組める労力やスキル・ノウハウにはどうしても限界があります。そのような実態も踏まえて、D.Forceの支援により、「組織全体で共通的に取り組む内容」と「各部門が主体的に決定する内容」を丁寧に切り分けたうえで、運用が回ることを考慮した共通データマネジメントガイドライン案を策定することができました。

組織の現在地の可視化を終え、次は「社会への価値提供」の実行フェーズへ

本プロジェクトを通じて、NITE様全体におけるデータマネジメントの重要性が共有されるとともに、各部門が抱える課題を明確に言語化することができました。

本プロジェクトで策定したロードマップと共通データマネジメントガイドライン案は、今後NITE様がデータマネジメントを着実に実行し、データ・ナレッジの対外連携やこれらを活用し新たな価値創出を本格化させていくための指針となります。

「データ・ナレッジの対外連携やこれらを活用した新たな価値創造」の実現に向けた取り組みの進展が期待されます。

次期フェーズでは、今回策定した共通データマンジメントガイドライン案を実務へ落とし込むために、各部門におけるデータマネジメント施策の立案や組織構築、メタデータ整備の実行に加え、AI-Readyデータを活用した業務プロセス(AIエージェント等)の企画・実装などの推進により、データマネジメントの実務運用とAI活用の定着が期待されます。

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